eggo0089 赤松 晃年 展 #猫を探す旅をした。
■作品紹介
「江ノ島 PM5:52」72.8×91.2cm
「富士見市 東大久保 AM8:24」72.9×60.7cm
「江ノ島の朝日」94.3×74.2cm
作品についてのお問い合わせはこちらからご連絡下さい。
■会期
2024年5月23(木)~6月1日(土) 10:00~18:00(会期中無休)
大雅堂1F展示室
作家在廊予定:全日
スペシャルサンクス:KA Factory 青井和子 北田治
■アーティスト/カイカイキキ代表 村上 隆
赤松さんはGINZA SIX FOAM CONTEMPORARYというところで「新しい風景」という展覧会を2023年5月20日から6月1日まで行い、その後、埼玉の上福岡というところに引っ越しをした。
作品で稼いだほんの僅か数百万円で、ボロボロのお家を購入し、傾いた床の1階2階のリノベーション(床を平行にするところから)が始まったという。
外壁を緑色のペンキで塗り、小さな駐車場を将来のシルクスクリーンの製版所にするなど、いろいろ夢を見つつも、資金が底を尽きて、なんとか雨漏りは凌げてはいるものの、爪に火を灯すようなギリギリな暮らしをしている模様だ。
僕が赤松さんと関わったのは、カイカイキキのアーティスト ミスターのお弟子さんを数年間やっておって、そのときに幾度となく暴れるというトラブルを起こして、その都度、ミスターから相談を受けていたときからの関係だ。
ミスターが自分の弟子を持つというのも、一つの経験だと思って応援していたが、ついにお互い我慢の限界が来て、ミスターと大喧嘩をしてスタジオを出たという。
そのままだったら、このように世話は見なかったのだが、赤松さんが私に電話をしてきて「どうしたらいいだろう、反省はしているけれども後戻りできない」ということで、大阪の青井画廊、そしてKA FACTORY (風呂敷画商)の北田さんなどに相談して、大阪での個展などを開催し、何とかその場を凌いできた。
しかし、この世で赤松さんに一番目をかけてくれた青井和子さんも、 2022年に亡くなってしまった。そして赤松さんは、相変わらずアルバイト先でトラブルを起こして、またまた、私に泣きついてきた。
そんな折、偶然にもKA FACTORYの北田さんの書斎にて、本展の主催者、大雅堂の庄司さんが赤松さんの作品と出会い、大層気に入り(それは北田さんや、僕が驚くほどに!気に入ってしまわれた)そして、赤松さんにとって10年ぶりの個展開催の運びとなり、2022年の大 雅堂での個展、そして2023年GINZA SIX FOAM CONTEMPO-RARYでの連続個展への発展し、大好評を博した。
その作品売却益の約半分が赤松さんの手元に入り、ボロボロの一軒家を購入して....現在迷走中というカンヂである。
赤松さんの新居の写真。何とも言えない不思議な家の成り立ちである。彼が新居に引っ越して驚いたことは、床がかなり斜めっていて、住んでみると三半規管がおかしくなり、不眠になってしまった。左右にフセンチ程の高低差があり、仕方がないので、自力工作で、平たい床を造作したとの事。
屋根を不思議な緑色でペイントしたり、DIYで新居は少しずつ異形の不思議ハウスへと変化していってるようだ。
最近「汚部屋」というものがクローズアップされている。孤独死と同義語のようになったその風景は、アーティストのアトリエにおいては、それほど不可解なものではない。
フランシス・ベーコンのアトリエなどがそのグチャグチャの典型的な風景であったが、そんなカオティックの環境から、自分の望む美の世界を探し出すという行為も、芸術の真理の一つでもある。
汚部屋生成に至る脳内のメカニズムとは、アンバランスを現世に作り上げる事で、向こう側の作品の世界が成立するという不可逆な芸術生成の不思議なのだが、正に、赤松さんの新居は、その真骨頂である。
今回の新作は前回までにもまして、とても端正な人物と風景の具象画となっているが、多分、寝れなくなるほどの傾いた家の中で創造しているが故の矯正されたバランスなのであろうと思われる。
芸術の不思議
体験してみてください。
■プロフィール
1977年 北海道札幌市生まれ
2004年 創形美術学校研究科 卒業
個展「そこは小さな夢の国」(ギャラリーeシエスタ/東京)
2007年 Mr.アトリエに勤務
2010年 Mr.のChildren展大阪やで!!(青井画廊/大阪)
Mr.のChildren (Hidari Zingaro/東京)
GEISAI#14(東京ビックサイト/東京)
2011年 「THE☆AKAMATSU」(Hidari Zingaro/東京)
2022年 「eggo0084 赤松見年展-Good morning.I'll do my best as well.-」(大雅堂/京都)
2023年 「赤松晃年展 新しい風景」(GINZASIX 6F FOAM CONTEMPORARY/東京)
■展覧会に向けたコメント
「新しい風景展」が終わり、2023年の夏に埼玉の少し田舎に引っ越しをしました。
8ヶ月程、その引っ越しやら長い間放置していた身の回りを整理して、この先、絵だけを描いて生活出来るような環境を整えました。 自分自身の負の遺産が次から次へと発見されて、ひどく落ち込んで「鬱」状態となり、作業はどんどん遅れて8ヶ月もの停止期間となりました。
ある朝、近所のコンビニに行く途中、野良猫達がいたので写真撮影をしてインスタグラムに投稿をしたら「いいね!」をたくさん貰えました。 自分が描いた絵よりも多く「いいね!」をもらえたのが印象的でした。
それから、絵を描く背景のイメージを撮影しに、実際に江の島や石巻の田代島に行き、猫を探す旅をしてみました。自分自身が何者か全く分かりませんが、オタク的な絵を鑑賞したり、描いたりすることはとても好きで、持続していける行為だと思っています。
2022年より、大雅堂庄司雅一様とKA FACTORYのK様にいろいろお世話になっており、ボロボロではありますが、家(制作場所)を持つこともでき、北海道の寒村に住む両親、兄弟にも埼玉迄来てみてもらって、よくぞお前のようなウツケモノが1人で生きれるようになったなぁ、と、家族全員が涙をボロボロ流してくれて、一斗缶に火を入れたガンガン焼きで、蛤やら野菜を焼いて食べました。
私の展覧会「#猫を探す旅をした。」をどうか見てみてください。
ヨロシクお願いいたします。
■展覧会風景